西日本における中央競馬の主要拠点、阪神競馬場。
春の「桜花賞(GⅠ)」や「大阪杯(GⅠ)」、そして夏のグランプリ「宝塚記念(GⅠ)」といった数々の大レースの舞台として知られています。
近年行われた大規模なリフレッシュリニューアルにより、阪神競馬場は「シン・阪神競馬場」として生まれ変わりました。
広大なスケールを誇るレースコースだけでなく、観戦環境、グルメ、ファミリーエリアの全てが大幅にグレードアップしています。
本記事では、新生・阪神競馬場の最新情報から、長い直線と独特の坂がもたらす予想のヒント、さらには鉄道ファンも注目する特別なアクセス方法まで、阪神競馬場を深く楽しむための全てを解説します。
阪神競馬場の基本情報と歴史
概要と開催時期
阪神競馬場は、JRA(日本中央競馬会)の競馬場の中で、西の主要拠点として京都競馬場と並び称されます。
- 所在地兵庫県宝塚市駒の町1-1
- 特徴日本最大級のスケールを誇る芝の外回りコースと、最終直線のゴール手前に設けられた急坂が特徴。
広いコースを活かした末脚勝負が展開されます。 - 主な開催時期
- 春の開催(3~4・6月)
クラシック第一弾「桜花賞(GⅠ)」(牝馬三冠)や、中距離路線の「大阪杯(GⅠ)」、春の総決算「宝塚記念(GⅠ)」など、最高峰のGⅠレースが集中して行われます。
長距離路線では「阪神大賞典(GⅡ)」もこの時期の重要なレースです。 - 秋の開催(9・12月)
秋のGⅠシーズンでは、2歳女王決定戦「阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)」や2歳王者を決める「朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)」が開催され、翌年のクラシックを占う重要な舞台となります。
- 春の開催(3~4・6月)
※スケジュールは開催年によって変化しますので、詳しくはJRA公式サイト(開催日程)にてご確認ください。
阪神競馬場のコースの魅力と攻略:長い直線と急坂
阪神競馬場のコースの最大の魅力は、その壮大なスケールと、レース終盤の劇的な急坂にあります。
JRA屈指の長い直線と高低差(JRA公式情報)
阪神の芝コースは、内回り・外回りともに高低差1.8mを誇ります。
この高低差はゴール前の急坂に集約され、勝敗を決定づけます。
| コース | 一周距離 | 直線距離 | 高低差 | 主な発走距離 |
| 芝コース(外回り) | 2,089.4m | 473.6m | 1.8m | 1,600m(桜花賞)他 |
| 芝コース(内回り) | 1,689.4m | 356.5m | 1.8m | 2,200m(宝塚記念)他 |
| ダートコース | 1,517.9m | 352.7m | 1.8m | 1,800m、 1,400m他 |
※コース詳細は、JRA公式サイト(コース紹介:阪神競馬場)からご確認ください。
攻略の鍵:東京に匹敵する末脚の持続力
- 「坂の頂上」がゴール手前にある阪神の最終直線は、ゴール手前約200m地点から上り坂が始まり、ゴールまで続いています(勾配約1.5%)。
東京競馬場の坂と異なり、頂上がゴールを過ぎていないため、馬はゴールまで上り続けなければなりません。 - スピードの持続力が命外回りコース(直線473.6m)は、東京競馬場の525.9mに匹敵する長さがあり、西日本では最長クラスです。
この長い直線を走り抜くスピードと、最後の急坂を上り切るパワー、そして持続力が、阪神巧者の必須条件となります。 - 内回りと外回りの使い分け
- 外回り(GⅠ:桜花賞など)
スピード持続力に優れ、長くいい脚を使える差し・追い込み馬が有利です。 - 内回り(GⅠ:宝塚記念、大阪杯など)
外回りに比べて直線が短く、コーナーがきつくため、器用さと先行力を兼ね備えた馬が有利になります。
- 外回り(GⅠ:桜花賞など)
観戦ガイド:リフレッシュリニューアルで刷新された施設
阪神競馬場は、2023年からのリフレッシュリニューアルを経て、観戦スペース、キッズエリア、グルメの全てが大きく進化しました。
多様な観戦スタイルを叶える指定席の刷新
従来の指定席に加え、グループでも快適に過ごせる多様な観戦席が新設されました。
| 席種 | 特徴 |
| プライベートシート/ シングルブース | プライバシーを重視した半個室空間。 一人でも集中して競馬を楽しみたい方に最適です。 |
| グループソファ/ グループラウンジ | ご家族やご友人とゆったりと過ごせるソファ席や、最大16名まで収容可能なグループルーム。 |
| S・A・Bシート | 既存の指定席も、座席幅や席間隔にゆとりを持たせる改修が行われ、快適性が向上しています。 |
| スマートシート | 屋内・屋外があり、リーズナブルな価格で利用できる指定席です。 |
※指定席の利用は「JRA指定席ネット予約」が基本となります。
家族連れに最適!ボーネルンド監修のキッズエリア
お子様連れの来場者が増えたことに対応し、ファミリーエリアが大幅に拡充されました。
- 室内キッズパーク「あそび馬!」
親子の室内あそび場「キドキド」でおなじみのボーネルンド社がプロデュースした屋内施設です。
天候を気にせず利用でき、全身を使って遊べるアクティブエリア、ブロック&ごっこあそびエリア、生後6ヶ月から利用できるベビーエリアなどが完備されています。 - アスレチックエリア
全長約35mのネット遊具など、体を動かせる屋内アスレチック施設。 - キッズガーデン
屋外公園エリアもリニューアルされ、ミニ新幹線やふわふわドーム、全天候型イベントステージ(約1,000名収容可能)が新設され、イベントもより充実しました。
※詳細は、JRA公式サイト(あそび馬:阪神競馬場)からご確認ください。
グルメエリアの充実
既存のフードコートに加え、着席型のフードコートやグルメストリートが新設され、飲食スペースが大幅に快適になりました。
- フードコートの配置フードコートは、1階東ウイング、2階東ウイング、2階西ウイングの計3か所に配置されています。
- 2階東ウイングには着席型フードコートが新設され、ゆったりと食事が楽しめます。
新しく「宮っ子ラーメン EXPRESS」も入店しています。 - 1階東ウイングは、リニューアル前からお馴染みの「宝塚カレー」など多様な店舗が揃っており、幅広いメニューを楽しめるエリアとなっています。
- 2階東ウイングには着席型フードコートが新設され、ゆったりと食事が楽しめます。
- グルメストリート季節やテーマに沿った特設店舗が並び、フードの選択肢が多様化。
※詳細は、JRA公式サイト(レストラン・ファストフード:阪神競馬場)からご確認ください。
アクセスと周辺情報:鉄道ファン注目の臨時列車
阪神競馬場の最寄り駅は、阪急今津線 仁川駅です。
アクセス情報
- 電車
- 阪急今津線 仁川駅
駅前から専用の地下道「サンライトウォーク」を利用して徒歩約10分と、非常に便利なアクセスです。 - JR宝塚線
宝塚駅から今津線に乗り換え。
- 阪急今津線 仁川駅
- 車での来場名神高速道路「西宮I.C.」または「宝塚I.C.」からアクセス可能です。
大規模駐車場がありますが、GⅠ開催日は公共交通機関の利用が強く推奨されます。
阪急今津線の「馬急(うまきゅう)」運行と約19年ぶりの復活劇
開催日には臨時列車が運行されるようですが、その中でも特にGⅠレース終了後の仁川発・大阪梅田行き臨時急行は、「馬急(うまきゅう)」という愛称で鉄道ファンから親しまれています。
この「馬急」の注目すべき点は、異例の直通運行にあります。
普段は今津線内で完結する仁川駅から、西宮北口駅を経由し、神戸本線に直通して大阪梅田駅まで運行される特別な列車であり、通常ダイヤでは見られない運行形態のため、鉄道ファンにとっては非常に珍しい臨時列車として注目されています。
また、2025年6月15日の宝塚記念(GⅠ)開催日の朝は、数の来場者に対応するため、「西宮北口→仁川間の臨時急行」が運転されたことです。
阪急の広報によると、これは2006年10月のダイヤ改正で廃止されて以来、約19年ぶりの復活となる「下り馬急」として大きな話題となりました。
まとめ:西の雄、シン・阪神競馬場へ
阪神競馬場は、長い直線とゴール前の急坂が織りなす西日本最高峰のスピードとスタミナが問われる舞台です。
そして、大規模リニューアルを経て、多種多様な指定席や、ボーネルンド監修の「あそび馬!」など、大人から子供まで誰もが快適に過ごせる「シン・阪神競馬場」として進化しました。
馬券戦略としては、長い直線を加速し続けられる持続的な末脚を持つ馬を見つけることが、勝利への最短ルートとなります。
ぜひ、生まれ変わった阪神競馬場で、熱いGⅠレースと、快適な一日をお楽しみください。
※本記事は、訪問した際の内容に基づき作成しておりますが、最新の情報や開催期間等はJRA公式HPにて必ずご確認ください。